- 2026年6月29日
五十肩で肩が上がらない — 無理に動かす前に知ってほしいこと
その肩、急に上がらなくなって、どうしたらいいか困ってませんか。
「肩が痛くて腕が上がらない」「着替えるのがしんどい」「夜中に痛くて目が覚める」——こういうお悩みをよく聞きます。
五十肩って、正直なところ「放っておけば治る」って言われることも多いんですよね。でも実際には、何ヶ月も、場合によっては1〜2年以上引きずってしまう方が少なくないんです。
なぜそんなに長引くのか。そして、やってしまいがちな「NG行動」が何なのか。
今日は理学療法士の藤井翔悟として、五十肩に悩む方へ、筋膜の視点からやさしくお話ししますね。
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五十肩って何が起きているの?
五十肩(医学的には「肩関節周囲炎」や「癒着性肩関節包炎」と呼びます)は、肩関節を包む膜(関節包)に炎症が起きて、それが癒着・肥厚した状態です。
ぶ厚くなった膜が、肩の動きを物理的に制限してしまう——これが「腕が上がらない」の正体です。
ここで僕がよくお伝えするたとえが「全身タイツ」なんです。
体って、骨や筋肉だけじゃなくて、筋膜(きんまく)という薄い膜で全体がつながっています。まるで全身を包む薄いタイツのように。
このタイツのどこかが引っ張られたり固まったりすると、引っ張りの影響が遠く離れた場所まで届く。
五十肩の場合、関節包だけじゃなくて、その周囲の筋膜・筋肉も一緒にこわばっていることがほとんどなんですよ。胸の前、脇の下、首、背中……全部つながってるんです。
「肩だけの問題」じゃない、っていうのが筋膜の視点からの見方です。

五十肩には「時期」がある — それが超重要
五十肩で多くの方が困るのが「どう動かせばいいのか分からない」ってことだと思います。
実は五十肩には、大きく分けて3つの時期があります。これを知るだけで、だいぶ対応が変わってきます。

炎症期(急性期)— 無理に動かすのは逆効果
五十肩が始まった直後の時期です。
特徴はこんな感じ:動かすと激しく痛む・何もしていなくても痛い(安静時痛)・夜中に痛くて目が覚める(夜間痛)
この時期に「痛くても動かさないとかえって固まる」と思って、ストレッチや体操をゴリゴリやってしまう方がいるんですが——これ、逆効果になることが多いんです。
炎症が起きている場所に刺激を与えると、炎症が悪化します。ケガをした直後に揉むのと同じイメージです。
この時期の基本は「痛みのない範囲でそっとしておく」こと。無理に動かさない。
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凍結期(慢性期)— 肩が「固まる」時期
炎症が落ち着いてくる頃、今度は「肩がカチカチに固まる」という問題が出てきます。
痛みは多少マシになった・でも肩の動く範囲が狭くなってきた・着替えや洗髪がしんどい
この時期は、適切な範囲でゆっくりと動かすことが大切になってきます。でも「痛みを我慢してでも動かす」は違います。痛みのない範囲でゆっくり、が基本です。
回復期 — 少しずつ動けるようになる
筋膜や関節包のこわばりが和らいでくると、少しずつ可動域が戻ってきます。個人差はありますが、適切に対処できていれば、ほとんどの方は回復の方向へ向かっていきます。
(ただし1〜2年かかることもあります。「放っておけばすぐ治る」は過信しないでください。)
やってはいけない「NG行動」3つ
五十肩でよく見かける、悪化しやすいパターンをお伝えしますね。

NG① 急性期に無理にストレッチ・体操をする
「動かさないと固まる」という情報を見て、炎症真っ最中なのに一生懸命肩を動かしてしまうパターン。
炎症中に強い刺激を与えると、炎症が長引きます。痛みがひどい時期は、なるべく安静にするのが基本です(動かすなら痛みのない範囲でそっと)。
NG② 痛い方の肩を庇いすぎて、反対側まで不調になる
右肩が痛くて、ずっと右腕を体に押し付けて固定していると……今度は首や背中、さらには左肩まで引っ張られて、全体的に悪化することがあります。
筋膜はつながってるので、一箇所を庇い続けると全体のバランスが崩れるんです。
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NG③ 夜、痛い側を下にして寝る
夜間痛が強い五十肩。痛い側を下にして寝ると、肩関節に圧迫がかかって痛みが増します。
痛い側を上にして、クッションや丸めたタオルで腕を支えてあげると、夜間痛が和らぐことがあります。試してみてください。

筋膜の視点からの「五十肩の見方」
ここからは少し深い話です。
病院で「五十肩です」と言われると、多くの方は「肩の関節の問題」と理解します。
でも筋膜の視点から見ると、肩は単独で動いているんじゃないんです。
たとえば、腕を前から上に挙げる動き——このとき使われる筋膜の連鎖ライン(アームライン)は、指先から首の付け根、そして胸骨まで続いています。
もし胸の筋膜が硬くなっていると、腕を上げるときにブレーキがかかるんですよ。
だから「肩だけ診ても変わらない」なんてことが起きる。肩周りだけでなく、胸・脇・首・背中まで含めた「全体のつながり」を見ることが大切です。
筋膜のラインについては、アナトミーライン完全攻略ブック(無料)で詳しく解説しています。
家でできること — 安全に、無理なく
医療機関への受診はもちろん大切ですが、日常生活の中でできることもあります。
ただし前提として:痛みがひどい時期(急性期)はまず安静。無理に動かさない。心配なら必ず医療機関を受診してください。
振り子運動(ペンジュラム体操)
炎症が少し落ち着いてきた頃、試せる動きです。
椅子に手をついて体を前に傾け、痛い方の腕をだらんと下げる。その状態で腕の重さで自然に小さな円を描くように揺らす。
ポイントは「腕の力でゴリゴリ動かすのではなく、重力に任せてぶらんぶらん」にすること。

痛みが出ない範囲でやることが大前提です。少しでも痛ければ中止してください。
タオルを使った補助ストレッチ
健側(痛くない方)の手でタオルを持ち、後ろ手に患側(痛い方)の手もタオルを握る。健側の手でゆっくりタオルを引っ張って、患側の腕をそっと持ち上げる補助をする。
これも痛みのない範囲で。ジワーっと伸びる感覚があればOK、痛みが出たらすぐ中止です。
姿勢を整える
意外と大切なのが「姿勢」です。
猫背になると、肩甲骨が外に開いて、肩の動く余地が狭くなります。
首を後ろに引く(顎を引く)、肩甲骨を少しだけ寄せる、これだけで肩の動きが変わることがあります。意識できる範囲で、できるだけ姿勢を整えてみてください。
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こんな時は必ず医療機関へ
セルフケアが効果的なケースもありますが、以下の症状がある場合は、ためらわず医療機関を受診してください。
・激しい痛みが2週間以上続いている ・腕に力が全く入らない ・しびれが出てきた ・発熱がある ・転倒などのケガをした後に肩が痛くなった
「様子を見る」判断は、専門家にしてもらってください。セルフケアはあくまで補助です。
まとめ — 五十肩は「知って」から動く
五十肩は、たしかに「いつか治る」ことが多い不調です。
でも「放っておけばいい」ではなく、「正しく向き合えば、より早く楽になれる可能性がある」というのが、僕の考えです。
・急性期は無理に動かさない ・時期が変わったら適切な動きを取り入れる ・肩だけでなく、体全体のつながりを意識する ・心配なら専門家に相談する
この「正しい知識と向き合い方」が、長引く五十肩から抜け出す第一歩だと思っています。

体のつながりについてもっと深く知りたい方は、藤井翔悟のアナトミーライン完全攻略ブック(無料)をどうぞ。五十肩にも関係するアームラインや筋膜の仕組みを図解で解説しています。
実際の施術の様子は、YouTubeチャンネルでも公開しています。「こういう体の動き方をするんだ」という気づきになればうれしいです。
ご自身の症状に合わせてセルフケアを試みる際は、無理せず、痛みが出たら中止してください。症状が重い・長引く場合は医療機関をご受診ください。
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※この記事は note でも公開しています:https://note.com/yyy2159/n/n9e84a54a9cf0
著者

日本疼痛リハビリテーション協会 代表
腰をはじめとした身体の痛みに対して、これまでに類を見ない施術方 法を考案、それを学び実践している医療従事者は世界中で10万人を 超える。学会発表や研究にも意欲的に取り組み、その手技は改善率 の高さから業界に旋風を起こしている。芸能人やスポーツ選手からの 依頼が殺到し、その確かな結果が評判を呼んでいる。また自身が主 催するサミットには800人以上の医師や医療従事者が参加。アメリカ、 スイス、カナダからも受講生が来日するほどである。ボランティア活動にも意欲的に取り組んでおり、医療が浸透していない地域に出向き、 医師や医療機関と連携して高品質な施術を無償で提供している。海 外でも普及活動を行い、その活動が評価されオランダ政治家との対 談やアメリカの医師から推薦文をもらうほどである。日本で最も有名 な治療家であり実力者。
書籍:痛みが消える魔法の腰痛学 PHP研究所
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