- 2020年3月9日
上顎神経による痺れには…
関東アドバンスコースの
受講生さんより
質問が来ていますので
回答します!
【質問】
2ヶ月前に自転車で転倒し、
左鎖骨骨折(転移なし) 左頬挫傷
鎖骨と左頬の痛みは
なくなりましたが、
鼻の横から上顎の辺りに
痺れが残っています。
首肩まわりの調整
循環を上げるための
内臓治療・頭蓋治療をやってみましたが、
変化は見られませんでした。
ほかに出来ることを教えていただけると助かります。
既往歴
両変形性膝関節症Ope後
腰椎圧迫骨折
それでは・・・
【一般的事項やデータ】
顔面の感覚神経は
三叉神経が支配しています。
鼻の横から上顎は
三叉神経第2枝である
上顎神経になります。
走行は、
三叉神経節より始まり、
蝶形骨の正円孔より
脳頭蓋から翼口蓋窩に到達し、
そこより
枝である眼窩下神経となって
下眼窩裂を抜けます。
上顎神経麻痺には
特発性と症候性があり、
40~60歳の女性に多くみられます。
起点としては
上小脳動脈や前下小脳動脈などが
三叉神経を圧迫することで
起こるものが多いです。
このような血管の圧迫による特発性と、
血管性圧迫以外の証明可能な
器質的疾患である症候性に分けられます。
両者の鑑別は
MRIやCTによる画像診断が重要です。
薬物治療として
通常の鎮痛薬は
効果がみられないことが多く、
抗けいれん薬が用いられます。
また、根治治療として
三叉神経を圧迫している血管を
移動する手術が行われます。
【JPRテクニックでできること】
しびれや痛みは
神経が圧迫と伸張された時に
生じます。
この要素を取り除くことで
症状の改善が期待できます。
【考察】
この患者さんの
頬のしびれは、
自転車で転倒した後に
生じたものという認識でよろしいでしょうか?
初期に痛みがあったとのことですから、
周囲の組織は何らかのダメージを
受けているかもしれません。
上顎神経について、
主治医からの情報はありますか?
また、どんな治療がされていますか?
さらに、
左鎖骨骨折は保存的治療とのことですが、
クラビクルバンドや三角巾で固定されましたか?
もう骨癒合していますか?
この点は確認しておきたいです。
神経の走行を考えると、
蝶形骨や全体のバランスは整えたいですね。
また、
もし左上肢の固定期間をとっていたならば
アームラインや頸部の調整が
大切になってくるかと考えます。
腰椎圧迫骨折の既往もありますので、
斜角筋や肩甲骨なども見てみてはいかがでしょうか?
しびれもですが、
この方はまた転倒しないか心配です。
ですから、
全体的なバランスをみて
また再受傷しないようにして差し上げたいですね!
【アクションプラン】
・蝶形骨および頭蓋全体の調整
・アームラインや頸部の調整
【参考文献】
標準的神経治療:三叉神経痛、日本神経治療学会
https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/sansa.pdf#search=%27%E4%B8%8A%E9%A1%8E%E7%A5%9E%E7%B5%8C+%E8%B5%B0%E8%A1%8C%27
医療研究チーム
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